聖母のさかずき

むかしワグナーという男がおり、彼は大量のワインを積んだ荷台を運んでいたがあるとき荷台が全く動かなくなってしまった。こうなれば彼が何をやっても無駄であった。するとたまたま聖母が通りかかり、彼女はワグナーが困っているのに気づくとこう言った。

「私は疲れて喉が渇きました。どうか一杯のワインを頂けませんか。そうすればその荷台を動かしてみせます。」

ワグナーは答えた。「もちろんですとも。しかしワインを入れるためのグラスを持ち合わせていないのです。」

すると聖母は赤い縞が入った小さな白い花を引き抜いた。それはヒルガオと呼ばれまるでグラスのような形をしていた。聖母はそれをワグナーに手渡した。ワグナーはそれにワインを注ぎ、聖母はそれを飲んだ。するまたたく間に荷台が動いたのだ。そうして彼は荷台を前へ進ませることができた。

その小さな花は今日では聖母のさかずきと呼ばれている。