欧州で相次ぐISによるテロは、今のところイタリアにはいたっていない。しかし、8月17日に起こり夏のバカンスを過ごしていたイタリア人も犠牲になったバルセロナのテロのあと、イタリア国内でも警戒がさらに高まっている。

とくに、膨大な美術品を抱えるイタリアでは、人命もさることながら人類の遺産へのテロが心配されており、文化財・文化活動省でも各地の美術館に厳戒態勢をしくよう指示したようだ。

ダヴィデ像も警戒へ

その中でも、ドイツ人セシル・ホルベルク氏が館長を務めるフィレンツェのアッカデミア美術館では、ミケランジェロの傑作であるダヴィデ像に対して厳戒態勢を整えたと発表した。

具体的に、「ダヴィデ」に対する爆破予告があったかどうかは明確にされていないが、ANSA紙のインタビューに対し、同館長はこう答えた。

「我々のセキュリティーは、現時点でもかなり優秀と申し上げてよいでしょう。しかし、ミケランジェロの『ダヴィデ』は、1991年にピエロ・カンナータという男にハンマーをふるわれ、脚の部分を損傷するという被害を受けています。バルセロナのテロを受けて、とくに脆弱な大理石彫刻を所有する我が美術館では、入館検査も厳しくなりました。金属探知機はもちろんのこと、液体も500ミリリットル以上のものを館内に持ち込むことはできません。肉眼では察知できないセキュリティーや公にできないセキュリティーも発動しましたが、ミケランジェロの作品を7つも所有するアッカデミア美術館ではそれでも安心できません。フィレンツェの行政にも応援を求めている状況です」。

値上げによりセキュリティ強化

この夏、フィレンツェの顔でもあるウフィッツィ美術館は、入場料を12,5ユーロから20ユーロに値上げした(オンライン予約の場合は、さらに4ユーロが加算される ) 。美術館の説明では、観光のハイシーズンのみの処置となっているが、有識者の間ではウフィッツィクラスの美術館の入場料が12,5ユーロというのは笑止と言われてきた。

アッカデミア美術館でも、ウフィッツィ美術館の例にならい値上げが検討されている。それにより財源を確保し、セキュリティーに重きを置きたいというのが館長の狙いのようだ。現在、アッカデミア美術館の入場料は8ユーロ。その所有品の質と量を考えれば、これもずいぶん安価だと言わざるを得ない。

ホルベルク館長は、セキュリティーと来館者の数を確保するためには、美術館の増築とセキュリティーへの予算増加が必須、とも述べている。現在の美術館の規模では、一度に600人以上の来館者を入場させることが難しい状況であるからだ。

しかし、美術館のテロ対策はなにもフィレンツェにだけとどまらない。そもそも、偶像崇拝を禁止しているイスラム教徒にとって、美術という形にしろ宗教を偶像化している作品を所有している欧州各地の美術館は、常に警戒を怠れないのが現状なのだろう。

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