イタリア、ジェノヴァで大々的に催されていた、近代画家アメデオ・モディリアーニの作品展が予定より3日早く打ち切られた。芸術品コレクターからの指摘で、数十点の作品のうち21点が贋作であるとの疑いで、ジェノヴァ当局に押収されたためだ。

それらの作品は、ヨーロッパやアメリカの個人コレクター、アメリカ、イタリア、フランス、ベルギーなどの美術館より貸し出されたものだったという。

作品展は3月16日からドゥカーレ宮殿で行われており、7月16日まで続くはずだったが、スポンサーが捜査協力のため日程の繰り上げを決定した。

専門家が贋作の疑いを指摘

贋作の疑いを指摘したのは、トスカーナ出身の芸術品コレクターで、モディリアーニ作品の鑑定家でもある、カルロ・ぺピ氏である。

ぺピ氏は、2月にオンラインで作品展の宣伝広告を目にした時から、絵画の真贋について疑問を投げかけいた。

さらに作品展のカタログを見てみると、贋作だらけであることに気付き、5月の時点では少なくとも13点は贋作であると主張していたという。

その後、イタリア軍警察の芸術品盗難詐欺チームや、国内マスメディア、ジャーナリストなどに接触し、捜査を強く進めた結果、今回の押収に至った。

フランス人美術史家のマルク・レステリーニ氏も、ぺピ氏を後押しし、作品展を「疑わしいもの」と表現した。

レステリーニ氏は、パリのピナコテーク美術館の創始者でモディリアーニの専門家でもある。

捜査関係者は、捜査中ということで事件についてのコメントは控えているが、作品展担当の学芸員を含む3名が捜査対象となっている。

モディリアーニの贋作が多い理由

モディリアーニはユダヤ系イタリア人一家に生まれ、主にフランスで創作活動を行い、1920年に35歳の若さで亡くなった。

芸術界での彼の作品価値は非常に高く、裸婦画や肖像画の価格はピカソの領域にまで届く勢いである。

彼は、多くの作品を人に譲ったが、何を誰に譲ったかなどの記録は残っていない。

そのため、その記録が乏しい点を利用し、記録的な価値を持つモディリアーニ作品の偽造を行う贋作者は多いという。

モディリアーニ作品の贋作はロシアやバルカン諸国でも見つかっている。

贋作の専門家によると、熟練の贋作者にとっては19〜20世紀の作品は、作家が使用した画材に似たものを手に入れやすいこともあり、それ以前の古典作品よりもたやすく真似ることができ
るそうだ。

そのため、この時期の芸術品の贋作は科学捜査で見つけにくいという。

また、その作品の所蔵歴などがそれらしいと、意外と通用してしまう。

鑑定士が騙されてしまう最も一般的な理由は、作品の所蔵歴が巧妙に作られていることと、鑑定士やバイヤーが素晴らしい芸術品を手にしているんだという興奮状態によるものだという。

今回のモディリアーニの件もしかり、その絵がそれらしく見えて、書類上の手続きがきちんと行われ、所蔵歴が巧妙に作られていると、贋作は鑑定士の調査の網の目をくぐってしまうのだろう。

しかし今回の捜査のきっかけをもたらしたぺピ氏は、贋作について、「モディリアーニの立体感のある優雅さが損なわれている。子どもですら、これらの絵が未熟な偽物だとわかるだろう。気の毒なモディリアーニ。こんなひどい醜悪にさらされてしまった」と、述べている。

会場提供者も被害者

ドゥカーレ宮殿側は、美術館自体も「被害を受けた」とし、作品展の打ち切りは訪問者に配慮したものだと話した。

これまでにフリーダ、カーロ、ゴッホ、ピカソを含む多くの巨匠たちの作品展に協力してきた、一流の国際芸術パートナーとしての評判に傷がついたという。

美術館広報担当によると、今年の作品展の目玉の一つであったモディリアーニ展には、既に10万を越える人々が訪れていた。

贋作だったと知ったその大勢は、さぞがっかりしたことだろう。

ドゥカーレ宮殿の代表によると、モディリアーニ作品展の贋作の数はまだ確認中だが、それら偽造の品々はジェノヴァの検察事務所に置かれることになるだろうということだ。

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