ローマで最も美しい広場のひとつ「ナヴォーナ広場」からわずかのところにあるブラスキ宮殿。ローマ博物館とも称されるブラスキ宮殿で、「美術に触れる」というコンセプトの美術展示が行われている。

展示会では、大作と呼ばれる4作品が克明な浮き彫りにされて展示している。美術品を、視覚ではなく触覚で楽しむことができる。視覚が不自由な人にも美術を楽しんでもらおうというプロジェクトだが、作品には誰でも触ることができる。また健常者たちは、アイマスクをして作品に触れる、という特殊な趣向になっている。

ラファエロやカラヴァッジョ作品が登場

触覚で楽しむことができる作品は、下記4点。

・コレッジョ《死せるキリストへの哀悼》パルマ・国立美術館所蔵
・ラファエロ《予言者イザヤ》ローマ・サンタゴスティーノ教会
・カラヴァッジョ《ロレートの聖母》ローマ・サンタゴスティーノ教会
・カラヴァッジョ《懺悔するマグダラのマリア》ローマ・ドーリア・パンフィーリ美術館所蔵

触って鑑賞するのが目的であるため、3Dによって綿密に作成された浮き彫り作品には、色はない。しかし、作品の線を指先で感じることができるこれらの浮き彫りからは、距離を置いて目で鑑賞する時には理解できない大きさ、構図を実感できる。

視覚障害者だけではなく、普段は視覚で鑑賞している健常者も、作品の奥の深さを体感できる。

17世紀の著作からインスピレーション

ローマのトル・ヴェルガータ大学文学部の教授たちの提唱で始まったこの企画は、実は17世紀の美術史家フランチェスコ・スカネッリの著作からインスピレーションを得たのだそうだ。

スカネッリは、美術を鑑賞するさいの距離の近さを非常に重要視していた。この企画はすでに、2016年にローマ近郊のザガローロ・ロスピオロージ宮殿で美術展として開催され、高く評価されていた。

ここ数年、こうした「触って鑑賞する美術展」はちょっとしたブームになっている。過去には、ローマの「アラ・パチス(平和の祭壇)」をはじめとする著名な美術館でも同様の試みが実施されてきた。

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