作品概要

誹謗》は、画家のサンドロ・ボッティチェリによって描かれた作品。制作年は1496年から1496年で、フィレンツェ ウフィッツィ美術館に所蔵されている。

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1480年代後半から、サンドロ・ボッティチェッリはそれまで描いてきた鮮やかな画風のスタイルを自ら否定し、精神的にも祖国フィレンツェをおそった政争により打撃を受け、画風には暗いトーンと神秘主義が支配するようになる。
優美で軽やかな異国の女神たちは描かれなくなり、固い線で描かれた大仰なジェスチャーの人間像が目立つようになる。

「誹謗」は、ボッティチェッリが最も暗かった時代をわずかに抜け出した時期に描かれている。古代ギリシアの作家ルキアノスが表した「アペレス」に登場する「誹謗」がテーマとなっている。

作品は、右から左へと物語が流れている。右端で豪奢な衣装に身を包んでいるロバの耳の男性が、王ミダースである。彼は「無知」と「疑惑」が擬人化された女性たちに囲まれている。王の前で黒い頭巾のついた衣装を着ているのが「怨恨」。その後ろで、「策略」と「欺瞞」が擬人化した女性に髪を結わせている青い衣装の美しい女性が「誹謗」である。そして「中傷」を表象する男性が、髪を引きずられるようにして床に寝転がっている。

老婆を挟んで、左端で天を仰いでいる全裸の女性が「悔恨」を表している。作品の解釈には諸説がある。シーンが展開する柱廊のある宮殿は、1500年代の貴族の宮殿のようにふんだんに金が使われている。

メディチ家が主催する「プラトンアカデミー」で古典を学び、後に修道士サヴォナローラの思想の影響を強く受けたボッティチェッリは、この作品においても人間社会の価値観を描きながら、古代の裁判のような舞台を描いている。サヴォナローラの失脚は、ボッティチェッリがこの作品を描いたわずか2年後のことであり、フィレンツェという都市の没落とボッティチェッリという芸術家の凋落が重複している作品といえる。

《誹謗》の基本情報

  • 画家サンドロ・ボッティチェリ
  • 作品名誹謗
  • 制作年1496年-1496年
  • 製作国イタリア
  • 所蔵フィレンツェ ウフィッツィ美術館 (イタリア)
  • 種類テンペラ画
  • 高さ62cm
  • 横幅91cm
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