作品概要

コトン湾のピラミッド》は、画家のクロード・モネによって描かれた作品。制作年は1886年から1886年で、プーシキン美術館に所蔵されている。

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1880年代はモネにとって模索と探究の時代だった。それまでの印象主義的な表現に疑問を抱いた彼は、旅に出て新たな手法を探していた。1886年に、ジヴェルニーからブルターニュ地方、そしてベリール島を訪れた。島の小さな漁村に居を構え、9月から11月の二ヶ月間滞在している。ベリールとはフランス語で「美しい島」を意味し、今でも原始さながらの美しい野生の自然が残されている。

ノルマンディー海岸の描写にすっかり慣れてしまっていたモネは、どこか不吉で重々しい雰囲気をまとう海岸に魅了された。これまで扱ってきた光り輝く画題と異なり、絶えず風が吹き荒れる台地を踏査し、波しぶきを浴びながらも荒々しい海や岩を何度も描き続けた。

「コトン湾のピラミッド」は、島の幻想的な岩の中でも、もっとも畏怖を感じさせる岩である。画面中央にピラミッドと呼ばれる尖塔岩が重厚的に描かれ、周辺に高さの異なる岩が配置されている。岩に打ちつけ砕け散る波や、長い年月を経て波に削られた岩肌の鋭さを、写実的にカンバスに写し取ろうとしている。絵画の構図は、モネが収集していた浮世絵に基づいており、特に歌川広重の六十余州名所図会「薩摩 坊ノ浦 双剣」という木版画に影響を受けている。

ベリール島で、モネは40点ほど作品を制作しているが、さまざまな構図を得るために毎回視点を変えて画題を描いた。さまざまな季節、天候、光の条件下で、同一の画題と構図を複数枚描く手法は、この時点ではまだ確立されていない。しかし、10月に後妻のアリスに当てた手紙のなかで、「本当に海を描くには、その場所の生活を熟知するため、同じところで毎日、毎時間、眺め続けなければならない」と綴っている。後に描かれる「積みわら」や「ポプラ並木」といった連作の手法は、モネのなかで無意識にではあるが、確実に形成されつつあった。

《コトン湾のピラミッド》の基本情報

  • 画家クロード・モネ
  • 作品名コトン湾のピラミッド
  • 制作年1886年-1886年
  • 製作国フランス
  • 所蔵プーシキン美術館 (ロシア)
  • 種類油彩、カンバス
  • 高さ65cm
  • 横幅81cm
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