作品概要

カーネーションの聖母》は、画家のアルブレヒト・デューラーによって描かれた作品。制作年は1516年で、アルテ・ピナコテークに所蔵されている。

詳細な画像を見る

この作品はアルブレヒト・デューラーによる聖母子を描いた油彩画である。聖母の顔の完璧な規則性は同じくミュンヘンのアルテ・ピナコテークに所蔵される『1500年の自画像』を思わせる。その作品の顔の目や口の一の比率は詳細な規則に従って描かれており、この『カーネーションの聖母』の聖母の顔も同じように実際の人物をモデルにしたというよりはむしろ計算に則って構成されたのかもしれない。彼女の目は絵を見る人を超えて遠くを見つめている。幼児キリストは小さな手でしっかりと梨を掴んでいて、一方マリアは優雅に三本の指先でカーネーションの茎をつまんでいる。
聖母の頭部は硬直して幾何学的な構成をしているためにこの世のものではなく理想的な世界に没入しているようである。それと同様幼児キリストも大きく見開かれた目をしていて自分の母親や絵を見る人とは隔絶された印象を与える。その上絵のサイズも小さいので、この絵はまるでイコンのように見える。イコンとは主にギリシャ正教会やロシア正教会で用いられるキリストや聖母マリア、聖人の画像であり、動きのない硬直した人体表現や人物の威厳に満ちた表情が特徴である。
聖母が持つカーネーションはナデシコ科の花であるが、それをラテン語ではdianthusといい、ギリシア語に訳すと「神の花」を意味する。そのためカーネーションはキリストの受難を象徴する花である。一方キリストが持つ梨は13世紀の神学者ボナベントゥーラ(1221-1274)によればその甘さが知恵の甘美さを暗示する。これらは聖母子とともに描かれるおきまりの道具立ての一つであり、例えばラファエロも『カーネーションの聖母』(1506-1507年?、ロンドン、ナショナル・ギャラリー)を描いている。

《カーネーションの聖母》の基本情報

  • 画家アルブレヒト・デューラー
  • 作品名カーネーションの聖母
  • 制作年不明-1516年
  • 製作国ドイツ
  • 所蔵アルテ・ピナコテーク (ドイツ)
  • 種類羊皮紙、板、油彩
  • 高さ39.7cm
  • 横幅29.3cm
  • 編集情報

  • 投稿日
  • 編集者