作品概要

ネメシス》は、画家のアルブレヒト・デューラーによって描かれた作品。制作年は1502年で、大英博物館に所蔵されている。

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この作品はアルブレヒト・デューラーによる銅版画であり、彼の銅版画の中でも最も大型の作品の一つである。この女性はネメシスという女神であり、はイタリアの詩人で人文主義者アンジェロ・ポリツィアーノ(1454-1494年)の詩『マントー』に登場する人物で、デューラーはこの詩を親友でニュルンベルクの高名な人文学者ヴィリバルト・ピルクハイマーの書斎で学んだのだと思われる。その詩の中では復讐の女神と運命の女神が融合して描写されている。

版画の中でその女神は雲の上で球体に乗って浮かんでいる。背中には鷲の羽が生え、右手には杯を、馬勒を持っている。彼女の肉体の表現はデューラーがウィトルウィウスの人体比例理論を研究した結果である。ウィトルウィウスは古代ローマの建築家で、その著書『建築について』は最古の建築理論書であった。その中の一節に、建築物と人体の比例関係を述べた部分があり、人体も建築も同様に美しい比例関係に基づいて表現されねばならないと述べられている。ルネサンスの芸術家はそれに倣って人体を描こうとした。レオナルド・ダ・ヴィンチによる『ウィトルウィウス的人体図』は特に有名であるが、デューラーもイタリア滞在中にそのような理論を学んで、それをドイツに帰った後自身の作品で実現しようと試みたのである。

女神ネメシスの持つ馬勒は馬を制御する道具であることから誘惑の制御を、また球体は将来の不確かさを表している。
女神の足元に広がる風景はキウーザ(ドイツ語でクラウゼン)の町だとわかっている。この町はスイスのインスブルックの近くにあり、アルプス越えの要所であった。デューラーはイタリアへの旅路の途中、この町を通ったと思われる。

《ネメシス》の基本情報

  • 画家アルブレヒト・デューラー
  • 作品名ネメシス
  • 制作年不明-1502年
  • 製作国ドイツ
  • 所蔵大英博物館 (イギリス)
  • 種類紙、エングレーヴィング
  • 高さ33.3cm
  • 横幅23cm
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