作品概要

鶸の聖母》は、画家のアルブレヒト・デューラーによって描かれた作品。制作年は1506年で、ベルリン絵画館に所蔵されている。

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1506年9月23日付のアルブレヒト・デューラーがヴェネチア滞在中に書いた親友のヴィリバルト・ピルクハイマー宛の手紙の中で、彼は『ロザリオの祝祭』(プラハ、国立絵画館)の感性を報告している。それと同時に彼はもう一枚の絵が完成したと述べているが、おそらくこの『鶸の聖母』がそれであると思われる。

この絵をデューラーは帰国時に自分でニュルンベルクに持ち帰った。驚くべきことにこの大型の、様々な図像学的な意味が込められた絵について、デューラーは注文主がいたと証言していない。彼は自分の教養と経験だけでもってこの絵を制作したのである。この絵はヴェネチア派の流儀に従って描かれている。聖母は堂々とした姿で、赤いガウンの上に青いマントを羽織り、赤いカーテンの前の玉座に座っている。風景は明るい光に照らされている。聖母の視線はわずかに左に向けられている一方、彼女の右手は聖書の上に置かれている。

そこには新たな王(キリストを暗示する)の誕生が預言されている。右の洗礼者ヨハネが捧げる百合は無原罪(性交によらず受胎すること)の象徴である。幼児キリストは母の膝の上に置かれた赤い豪華なクッションの上に座っている。彼は右手で一種のおしゃぶりを手にしていて、左手は自分の着ている肌着を引っ張っている。その左腕にとまっているヒワはキリストの受難の象徴であるアザミを食べることから、キリストが受難に打ち勝つことを表している。

左奥の廃墟と右奥の倒木から萌出でる樹木は、旧約聖書(古いユダヤ教の教え)と新約聖書(新しいキリストの教え)との対比を示していると考えられる。デューラーは絵の中で形態と意味との完全な調和を実現したが、保存状態の悪さによってその調和はいくぶん妨げられている。

《鶸の聖母》の基本情報

  • 画家アルブレヒト・デューラー
  • 作品名鶸の聖母
  • 制作年不明-1506年
  • 製作国ドイツ
  • 所蔵ベルリン絵画館 (ドイツ)
  • 種類板、油彩
  • 高さ93.5cm
  • 横幅78.9cm
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