作品概要

赤い手袋》は、画家のジョルジュ・デ・キリコによって描かれた作品。制作年は1958年から1958年で、ローマ(個人蔵)に所蔵されている。

キリコ作、運命の謎と同じ、単純な画面構造でありながら前作から44年もの時を隔てた2点を比較すると、全体の情調が、かなり変化しているのに気づく。陰うつだった空の色が青く澄み、筆で、はいた様なくもさえ浮かんでいる。手袋も心なしか肉感を増し、色も鮮やかになり、前面に押して出ていた巨大な煙突が、背景に、不思議なノスタルジーさえ感じさせる姿で後退している。

シュルレアリスト達によれば、女性象徴のアーケードをおびやかす威圧的な男性象徴の煙突の後退の故にか、完璧さのシンボルである三角形のカンヴァスに描かれたアーケードと煙突には、かつての様な一触即発のムードはない。 しかし、前景の爪のある赤い手袋は眼を驚かせる。

キリコはかつて、パリのショーウインドーで見た銀の恐ろしい爪があり、敷石を指さしている手袋から新しい憂愁の隠されたシンボルを教わったと記しているが、手袋への関心は、彼が非常な影響を受けたマックス・クリンガーの手袋の夢や、クリンガーの作品「手袋の発見におけるパラフレーズ」などに接した時から、潜在的に心に焼きついて離れなかったものであろう。

切断された彫像の手足と同様、手袋は切断された人間の手のイメージを与える。しかし、その手は切断された彫像の手足と同様、手袋は切断された人間の手のイメージを与える。しかし、その手は切断されているが故にますます預言的で魔術的効果を感じさせるオブジェとなる。

この「赤い手袋」においては、44年前の「運命の謎」の手袋においては予見できなかったような一種の穏やかさと、未来をはっきり見据えたものの自信の様なものがにじみでている。44年をへだてて、キリコも混乱と無秩序の中に、ある種の和解を模索しはじめたのか。

《赤い手袋》の基本情報

  • 制作者:ジョルジュ・デ・キリコ
  • 作品名:赤い手袋
  • 制作年:1958年-1958年
  • 製作国:イタリア
  • 所蔵:ローマ(個人蔵) (イタリア)
  • 種類:油彩
  • 高さ:72cm
  • 横幅:58cm
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