作品概要

聖バルバラ》は、画家のヤン・ファン・エイクによって描かれた作品。制作年は1437年から1437年で、アントワープ王立美術館に所蔵されている。

『聖バルバラ』は、初期フランドル派の画家ヤン・ファン・エイクにより描かれた、チョーク画である。細密に描かれている箇所と、ラフに描かれている箇所が混在しており、ファン・エイクにより意図的にそのような形式で描かれているのか、それとも未完の作であるのか、今もなお議論が続いている。

聖バルバラの伝説

1437年に初期フランドル派の画家ファン・エイクにより制作された板絵『聖女バルバラ』には、聖バルバラの伝説が描かれている。シリアの貴族で非キリスト教徒であるバルバラの父は、娘が男たちの目に触れぬよう、堅固な塔に彼女を閉じ込め、何不自由ない生活をさせた。

年頃になっても彼女は結婚することを拒否したため、父親は娘の気を変えようと、塔の外に出ることを許可した。ところがそれによりバルバラは、キリスト教に改宗してしまったのである。バルバラがキリスト教の三位一体の象徴として塔に3つの窓を作らせたことで父は彼女の改宗を知り、怒って彼女を官吏に引き渡してしまった。

バルバラは拷問を受けたが、神の奇跡により傷は夜のうちに完治したという。しかしついには死刑を宣告され、父親の前で首をはねられた。処刑の後、地震が起き父親は雷に打たれ死んだといわれている。

主題

本作品の中では、バルバラはキリスト教殉教者として祈祷書とともに描かれている。彼女の左手には、死に対する勝利の象徴として椰子の枝が握られている。バルバラがキリストを選び、それにより永遠の生命を得たことを意味しているのである。

背景には労働者たちがゴシック調の記念の尖塔を建設している様子が描かれており、キリスト教の台頭をあらわしている。

ファン・エイクはなで肩の女性像を描くことで知られているが、バルバラもそのように描かれている。彼女は幅の広い袖の外套に身を包み、彼女の左手にみられる三人の女性達も同様の外套を着ている。 背景に進むにしたがって、絵の緻密度は徐々に下がっている。地上にいるバルバラ達は、塔の上にいる建設作業者達に比べ、より細密に描かれている一方で、後方の風景はほぼ何も描かれていない。

画題である聖バルバラは、3世紀に実在したキリスト教の殉教者であり、中世においてよく知られた聖人だった。このような悲劇から、彼女はファン・エイクの時代に人気のある画題であった。

下絵か描画か

オランダの作家カール・ヴァン・マンデルはその著書で、画中の空間の一部のみが彩色されていることからこれは下絵であると述べている。一方で、この作品が当時のフランドルの美術愛好家からの評価が高かったため下絵でなくグリザイユ技法の画、もしくは描画であるともいわれており、未だに議論となっている。

元々の大理石のフレームの下部には、彫ると浮き出る仕掛けによって『IOHES DE EYCK ME FECIT. 1437』と記されており、物議をかもし出した。この事実が作品の未完成を意味するのであれば、ファン・エイクは絵画のデザインのみが完成したことを意味しており、彼の工房のメンバーに仕上げを託した作品であったのかもしれない。

本作品は、ヨーロッパ低地帯(ベルギー、オランダ、ルクセンブルクを含む地域)で現存する最も古い未完の板絵だとされており、現在はアントワープ王立美術館(ベルギー)に収蔵されている。

《聖バルバラ》の基本情報

  • 制作者:ヤン・ファン・エイク
  • 作品名:聖バルバラ
  • 制作年:1437年-1437年
  • 製作国:不明
  • 所蔵:アントワープ王立美術館
  • 種類:チョーク画
  • 高さ:41.4cm
  • 横幅:27.8cm
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