作品概要

ヨーゼス・ベンバウアーの肖像》は、画家のグスタフ・クリムトによって描かれた作品。制作年は1890年から1890年で、チロル州立美術館に所蔵されている。

ヨーゼス・ベンバウアーの肖像画は、縦65?、横55?の油彩による肖像画である。この写実的な肖像画のモデルである、ヨーゼス・ベンバウアーは、ピアノ奏者であると同時にピアノの指導者でもあった人物である。特に顔面の描写の精巧さ、その写実的な表現が、背景に配されたスタイリッシュなデザインと相まって、非常に繊細な空気感を生み出していることに注目したい。

実に写実的な肖像を取り囲むのは、複数種類の、まるで関連性を持たないモチーフの数々である。右上のスペースには、ギリシア神話に登場する音楽の神、アポロがリラを奏でる立像が描かれている。リラが選択されたのは、肖像画の主であるベンバウアーの経歴によるものであると考えられる。

時計回りに見ていくと、丸くしたロープからぶら下がる魚やヘラのモチーフが見られ、当時ミュンヘンで有名であったカフェのトレードマークであるGSの文字を配したモチーフ、2つの頭、いくつかの円と星々、という風に配されている。本作品が、赤、黒、金という非常に限られた色彩で描かれていることに注目してもらいたい。

限定された配色、周囲に配されたモチーフとの相乗効果によって、この肖像画から「成功を収めたピアニスト」を象徴する、静謐で優雅な雰囲気が漂ってくるのである。この時期は、クリムトが写実主義とシンボリズムの狭間で揺れ動いた時期だと言われている。

そして、その悩みが、音楽を象徴する古代絵的な表現に結実したと言えよう。同じ表現は、1895年に発表された油彩、「音楽1」にも用いられており、楽器に象徴される音楽の完全かつ恒久的な価値を象徴しているのである。

《ヨーゼス・ベンバウアーの肖像》の基本情報

  • 制作者:グスタフ・クリムト
  • 作品名:ヨーゼス・ベンバウアーの肖像
  • 制作年:1890年-1890年
  • 製作国:オーストリア
  • 所蔵:チロル州立美術館 (オーストリア)
  • 種類:油絵
  • 高さ:65cm
  • 横幅:55cm
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