作品概要

鰯の埋葬》は、画家のフランシスコ・デ・ゴヤによって描かれた作品。制作年は1812年から1812年で、王立サン・フェルナンド美術アカデミーに所蔵されている。

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『鰯の埋葬』(スペイン名:El entierro de la sardina)は、ゴヤによる油絵のパネル画であり、通常1810年代に製作されたものであると言われる。この題名はゴヤの死後につけられたもので、マドリードで3日間行なわれ、灰の水曜日に終了するカーニバルの様子が参照された。        

仮面をかぶって変装した酩酊者たちが、儀式用の鰯が埋葬されるマンサナーレス川沿いの土手に向かって踊りを踊っている姿が描かれている。ゴヤは絵の中で、魚や、ペレレ(pelele)と呼ばれる藁人形を書き込んではおらず、中央で掲げられているものは、陰気にニヤニヤと笑う「カーニバルの王様」である。                                       

この絵の製作時期は1793年から1819年の間とされるが、この絵の様式と、ゴヤが年齢を重ねるにつれ変化していった時期の絵の主題から見て、多くの記述がこの製作期間の終わりの方の作品であるとしている。ゴヤが流行りものや、カラフルなイラストのタペストリーを依頼されていた頃のような、輝かしく、また若々しい作品から始まり、進歩していく中で、絵の様式に「埋葬」という言葉が相応しくなった。そしてその後、心理的に更に暗いテーマの『黒い絵』を製作するのである。  

『鰯の埋葬』は紛れもなく一般人に贈られた絵であり、他のカトリック教徒たちが教会で礼拝している最中、四旬節のはじめの日に大酒盛りをする溢れんばかりの人々の熱気を描いている。その中で、白い服を着て踊る女性たちを囲むように仮面をかぶった人々や虚ろな表情の人々が描かれており、この儀式が不吉なものとも見ることができる。

他にも、灰色の歪んだ木や、暗い空気が侵入してきている様子、そしてひときわ目立つ、カーニバルのマスコットにしては不釣り合いな黒い旗も、不穏な雰囲気を醸し出している。                                 

『鰯の埋葬』のような祭りは、死の必然性の主題を持つ。たとえば仮面は、犯罪を犯した魂や、むごい死に方をした魂を避けるために被るものである。死(mortus)という言葉は、旗の絵から読み取ることができる(スケッチ参照)。形は曖昧だが、おそらく鰯そのものを形作っている。ゴヤが『鞭打ち苦行者の行進』(Procesión de disciplinantes)と『宗教裁判の光景』(Auto de fe de la Inquisición)の間に製作した頃、他にも比較的自由な主題を持つ宗教的な儀式の絵を描いている。       

ゴヤ研究者であるフレッド・リヒトは、以下のように述べている。

「『鰯の埋葬』は、ゴヤの筆が我々に見せた、最も驚くべき名人芸の一つである。彼の作品で、これほど確固たる決意に触れた筆のタッチが見られるのは珍しい。どの筆の運びもぶれない能筆のようでいて、表情や感情の起伏、そして身振りまでもを正確に描く。ここが、タペストリーに描かれたイラストと、晩年の黒い絵のちょうど境目なのである。前者から引き継いだ陽気さは絵の表面から目に伝わってくる。ところが、色味を暗くしたことや、仮面のようなものをかぶることで表情を曖昧にしたこと、そして特に人々の高ぶった身振りに、パーティーの底に潜む群衆のヒステリーの本質を感じ取り、見る者がだんだん不安になってくるのである。」

《鰯の埋葬》の基本情報

  • 制作者:フランシスコ・デ・ゴヤ
  • 作品名:鰯の埋葬
  • 制作年:1812年-1819年
  • 製作国:不明
  • 所蔵:王立サン・フェルナンド美術アカデミー
  • 種類:油絵
  • 高さ:82.5cm
  • 横幅:65cm
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