作品概要

アスモデア》は、画家のフランシスコ・デ・ゴヤによって描かれた作品。制作年は1821年から1821年で、プラド美術館に所蔵されている。

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『アスモデア』または『風変わりな視点』(スペイン名:Vision fantástica)は、1820年から1823年の間に製作されたと思われるフレスコ画である。画面には大きな山々を見下ろしながら空中を舞う2人の人物が描かれている。『アスモデア』はゴヤの14の作品であり、最後のメジャー作品でもある『黒い絵』のうちの1つであり、精神的にも肉体的にも厳しい状況にあった晩年、マドリードにある彼の自宅の壁に直接描いた。                            

口頭・記述ともに、そのシリーズが意味することの記録は残されていないが、それらはそもそも外部の人間や身近な関係の人間には見せるつもりはなかったものかもしれない。ゴヤはそのシリーズのどの作品にも題名を付与しなかった。この『アスモデア』は、ゴヤの友人である、スペイン人画家のアントニオ・ブルガダが後に名付けた。『アスモデア』は、『トビト記』に登場する悪魔の「アスモデウス」から取った可能性がある。また、「アスモデウス」はギリシア神話で、女神ミネルヴァがティータンのプロメーテウスをコーカサス山脈へ連れていく場面にも描かれている。       

絵の中の2人の人物は、1人が男性で、もう1人は女性である。女性の方は白いドレスに、レッドローズのローブを羽織っている。2人は恐怖に満ちているようで、女性は顔の下半分をローブで覆い、男性は不安げな表情である。またお互い反対方向を向きながら、男性は画面右側にある山の上の町を指差している。批評家のエヴァン・コーネルは、山の形がジブラルタルに類似すると記している。画面右下には、ゴヤの1814年の作品である『マドリード、1808年5月3日』に登場するようなフランスの兵士が描かれ、遠くを歩く集団を狙っている。この集団は馬や荷馬車で旅をしており、ひょっとするとフランスとの先の戦争から逃れる難民を描いた可能性があり、さらに彼らはゴヤが非常に詳細に描いた『戦争の惨禍』の中の犠牲者であるかもしれない。              

記者のリチャード・コットレルは、『アスモデア』とゴヤの『黒い絵』シリーズのうちの1つである『砂に埋もれる犬』とは、「鉛色の」空が描かれているという点で類似すると述べている。さらに『アトロポス』や『サン・イシードロへの巡礼』で用いられているような、楕円形の視覚の仕掛けを施すことによって、鑑賞者の遠近感を歪ませている。この場合、浮遊する男のローブが男をカンヴァスの枠の外へ連れ出そうとしているようで、浮遊する女よりも鑑賞者に近づいてくるように見える。ただし『アトロポス』同様、歴史的資料から意図された意味を推定しようとしたシリーズ作品のうちの1つである。  
                                   
『アスモデア』は元々壁にかけられた服に製作され、他のシリーズ作品の大半と同様、場面の旧バージョンは塗りつぶされている。ゴヤはキンタ・デル・ソルドの上の階の側壁にこの作品を置いた。これが後にパネル画への転換となり、今日マドリードにあるプラド美術館に、他のシリーズ作とともに常設展示として飾られている。ロルフ・ケンティッシュによると、ゴヤ作品は「大小の事柄を反映させる才能と能力、暗闇と明るさ、裸体と衣服を纏う姿、外の風景と室内の風景、動物、日々起きるテーマと空想のテーマ、そして時々、それら2つの奇妙な混合。」であると述べている。

《アスモデア》の基本情報

  • 制作者:フランシスコ・デ・ゴヤ
  • 作品名:アスモデア
  • 制作年:1821年-1823年
  • 製作国:不明
  • 所蔵:プラド美術館
  • 種類:油絵
  • 高さ:125.4cm
  • 横幅:65.4cm
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