作品概要

雨傘》は、画家のピエール=オーギュスト・ルノワールによって描かれた作品。制作年は1881年から1881年で、ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

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『雨傘』は、1880年代、二つの期間を経てルノワールが描いた油彩画で、現在の正式な所蔵者はロンドンのナショナル・ギャラリーであるが、アイルランドのダブリン美術館などに6年の期限で貸し出されている。

ルノワールは1880年から1881年にかけて当絵画の作成に着手しており、印象派の作風よろしく、明暗を多用した粗いブラシ捌きで作画を続けていた。1885年から6年頃になると、ルノワールは印象派表現に執着しなくなり、イタリアで見た古典絵画、およびイングルスやセザンヌの作品に受けたインスピレーションをこの絵画に表現し始める。

とりわけ、構図の左側に位置する女性を、色調を抑えた線画で描き、その後で背景と傘を描き加えた。X線解析によると、もともとこの女性に描かれていた服装はやや異なり、帽子を被って水平なフリルのついたスカートを履き、襟と袖口に白いレースのついたブラウスを身に纏っていたという。おそらくもともとのモデルは中産階級で、書き直された現在の外見は、労働者階級の女性(グリゼット)の一人として描きなおされたのであろう。この解析によって、当絵画が二つの期間に分けて描かれたことが証明されたとも言える。

この絵画が描くのは、パリの喧騒であり、ほとんどの人が雨傘をさしている。絵の右側には娘を見下ろす母親が描かれるが、その服装は1881年当時昼の散歩によく見受けられた流行服のものである。彼女に隠れて、傘を畳もうとする女性がいる。おそらく雨がやみ始めたのであろう。絵の左側でこちらを見る女性は、仕立て屋の助手らしき風采で、おそらくは当時ルノワールの恋人であったスザンヌ・ヴァラドンをモデルにしたものと思われる。

彼女はスカートの裾を上げて道路の泥水を避けようとしており、手には帽子入れを下げているが、帽子、雨具、果ては傘すら身に着けていない。ひげ面の男性が彼女に傘を差しだしている。女性と少女だけがこちらを見ているが、他の人々はまるで仕事に出かけるかの如く無表情である。絵の焦点は中央に合わせられているが、ほとんどの人がフレームアウトしており、その作為性の薄さが、まるで写真の様な描写を生み出している。

《雨傘》の基本情報

  • 制作者:ピエール=オーギュスト・ルノワール
  • 作品名:雨傘
  • 制作年:1881年-1886年
  • 製作国:不明
  • 所蔵:ナショナル・ギャラリー
  • 種類:油彩
  • 高さ:180.3cm
  • 横幅:114.9cm
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