作品概要

悩める詩人》は、画家のウィリアム・ホガースによって描かれた作品。制作年は1736年から1736年で、バーミンガム美術館に所蔵されている。

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『悩める詩人』は、1736年頃にウィリアム・ホガースによって作成された油彩画と、エッチングとエングレービングでその絵を元に再度作成され、1741年に公開された版画を指す。現在絵画の方は英国のバーミンガム美術館に、版画は大英博物館に所蔵されている。本稿では主に版画を取り扱う。

絵の場面は、おそらくはアレクザンダー・ポープの『愚か者列伝』に着想を得たと考えられる。壁の漆喰にはひびが入り、窓は破れ、床はでこぼこな小さくほの暗い、飾り棚に入れる物すら十分にない屋根裏部屋が絵の舞台であり、ホガースはそこに暮らす詩人一家のおかれた絶望的な状況を暗示する。

寝間着ガウンを着たままの詩人が、詩想の枯渇とスランプに悩まされながら、机に並ぶベッドの上に座し、ペンをつかみ、頭を掻きむしっている。1702年に出版されたエドワード・ビュッシー作『英語詩の技術』という試作手引書が、卓上に開かれたままになっている。詩人の足元には、ポープの風刺小品『グルブストリートジャーナル』の複製が転がっている。

数フィート右に座る詩人の妻は針仕事をしており、膝の上に広げた衣服の裾は床に広がっている。ベッドの上では、空腹に泣く赤子がほったらかしにされている。開かれた扉の前で伝票を一家につきつけて怒り、支払いの請求を行っているミルク売りの女性が、糊口を凌ぐための定職に就かない詩人の素行を仄めかす。飾り棚はネズミの住処になり、扉の側では野良犬が一家のわずかに残された食べ物を奪おうとしている。

他にも、一見しただけではわかりにくいものの、絵の細部に詩人の人格や思想を垣間見ることのできる装置が隠されている。家計の窮状を顧みず空想の世界に耽る詩人が書きかけている詩のタイトルは『富貴について』である。1691年に詩人志願者である自らの困窮を風刺したネド・ワードの『富貴さえあれば詩人は勇躍できるのに』という作品があるが、ホガースはこの作品を作画の参考にしたと思われる。窓におかれるパイプ、椅子の上のビール入りマグ、暖炉に干されるレース袖のシャツ、サイズの合わないカツラ、床に転がるジェントルマン用の飾り剣は、貧困を無視して自己の快楽を追及する詩人の性格を表彰している。

《悩める詩人》の基本情報

  • 制作者:ウィリアム・ホガース
  • 作品名:悩める詩人
  • 制作年:1736年-1736年
  • 製作国:不明
  • 所蔵:バーミンガム美術館
  • 種類:油彩
  • 高さ:65.9cm
  • 横幅:79.1cm
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