作品概要

仮面舞踏会とオペラ》は、画家のウィリアム・ホガースによって描かれた作品。制作年は1723年から1723年で、ヴィクトリア・アルバートミュージアムに所蔵されている。

『仮面舞踏会とオペラ』、または『町の悪趣味』と呼ばれるこの版画は、1723年から1724年にかけてホガースが作成した版画である。パラディアン建築、イタリア製コメディア・デッラルテの影響を受けたパントマイム、仮面舞踏会、イタリアオペラと言った、当時のイングランド都市部で流行した外国文化を風刺して描いた作品で、現在はヴイクトリア・アルバート美術館が所蔵している。

エッチングとエングレービングと言う二つの異なった手法を施した版画でもある。
ガーターを右足に巻き道化帽を被った男を伴いながら、1000ポンド入りの袋を頭上高く掲げるのは、「風刺」あるいは悪魔サタンを擬人化したもので、仮面舞踏会が行われる左側の建物へ仮面姿の人々をいざなう。ガーターを巻いた男性はこうした舞踏会の愛好者であった当時のウェールズ王太子、後のジョージ二世を模した姿と考えられる。また、建物はロンドンのヘイマーケットに位置するキングズ・シアターをモデルにしたものであろう。

建物の玄関につるされた広告に描かれるのは、ロンドン公演用の8000ポンドを支払おうとしてイタリア人ソプラノオペラ歌手クッツォーニの眼前に拝跪する第三代ピーターバラ伯チャールズ・モードントおよび二人の貴族。床にばらまかれた金をクッツォーニは熊手でかき集める。その傍には二人の男性役者が佇む。このバナの内容は、当時別の版画家が戯画化したヘンデル作のオペラ『フラヴィオ』の公演版画を元にホガースがひねり直したものであると言う。
広告の傍で別の看板が当代きっての名奇術師イザーク・フォークスのロングルーム公演を広告している。ヘイマーケットのキングズ・シアターの主にして仮面舞踏会をロンドンに輸入した張本人、スイス人興業主のジョン・ジェームズ・ハイデッカーが窓から身を乗り出す。サッシの下に刻まれたHがその素性を表わしている。

絵の右手に描かれるのは、ジョン・リッチ主演のパントマイム『ハーレクイン版フォースタス博士』を見るためにリンカーン・イン野外劇場に長蛇の列をなす人々の群れである。建物を守る司教冠の兵士は、英語を話せなかったドイツ生まれの英国王ジョージ一世のパントマイム庇護を仄めかしてもいる。
後ろに描かれるのは、第三代バーリントン伯が建造したパラディアン建築の館で、『芸術の学校』と大仰に主張するバーリントン・ハウスである。ホガースはこのような英国人にとっては「洋風」な建築を好まず、古式ゆかしい英国バロック風の調度を好んでいたと言われる。絵の手前で女性が押す手押し車の中には、そのようなホガースの心情を代弁してか、錚々たる英国文学の巨匠たちの戯曲作品が積まれ、「業務用チリ紙」として売られている。

ホガースはこの版画を版画家組合に出さず自分で売るために一枚一シリングで刷り始めたが、人気が出るにつれ半額の複製品が出回ったため、版画家仲間を引き連れて議会に請願し、版元の著作権を守る運動を繰り広げた。この運動はやがて近代著作権の原点である1734年の版画著作権法、別名ホガース法に結実することになる。

《仮面舞踏会とオペラ》の基本情報

  • 制作者:ウィリアム・ホガース
  • 作品名:仮面舞踏会とオペラ
  • 制作年:1723年-1724年
  • 製作国:不明
  • 所蔵:ヴィクトリア・アルバートミュージアム
  • 種類:版画
  • 高さ:13cm
  • 横幅:15cm
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