作品概要

トビトとアンナ》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって描かれた作品。制作年は1626年から1626年で、アムステルダム国立美術館に所蔵されている。

うつろな目をした老人が祈りのポーズを取り、その老人をけしかけるようにストールを被った老女が体を傾けている。老女は山羊を抱きかかえており、その足元には鈴の首輪をつけた犬がひかえており、暖炉には薪がくべられ、暖かな炎がゆらいでいる。一般的な庶民の生活空間らしく、素朴な室内に奥の棚には皿や鍋のようなものが置かれている。玉ねぎのような野菜が干されていたり、かごが立てかけてあるなど、台所の一角のようにも思える。

本作で描かれているのは、旧約聖書外展《トビト記》第2章11~14節に記される物語である。裕福で進行の暑かったトビトの目に燕の糞が入り盲目となってしまう。アッシリアの王に使えていたが、冤罪を着せられてしまったことで財産も失ったことも重なり、猜疑心がトビとの心を苛んだ。

仕事から戻った妻アンナが手間賃のかわりに受け取った山羊の子どもを盗んできたのではないかと疑う。アンナはそれを否定し、全盲と貧乏のためにトビトの心が猜疑心に蝕まれていると訴え、トビトが悔悛するする姿を描いた作品である。

レンブラントの代表作とは異なり、一般庶民の家庭らしい素朴な室内に柔らかな光が満ちている。伝統的な宗教画や歴史画よりも、風俗画を求められることが多かった当時のネーデルランドの時勢を示しているとも言えるだろう。聖書の文言を庶民の生活に託す形で描かれる作品は人気が高かったという。どこともなく視線を彷徨わせるトビトの目は、盲目になりながらも外の窓の方に向けられ、神への悔悛のポーズになっていることを示している。

この作品に見られるようにレンブラントの最初期の作品は、レンブラントが18歳の時に弟子入りしたアムステルダムのピーテル・ラストマンの影響が強く見られ、その明瞭かつ均一的な光彩表現や明暗を用いるカラヴァッジョ派の手法、表現方法などが色濃く反映されている。またレンブラントは絵画技法に留まらず解剖学なども学び、版画家・数学者として名高いアルブレヒト・デューラーの著書「人体均衡論」を愛読して、表現力や描写力に磨きをかけたという。

この頃弟子入りを終えてレイデンにある実家に戻り、アトリエを開いて独立したレンブラントは、同時期にラストマンに弟子入りしたヤン・リーフェンスと知り合い、お互いに切磋琢磨する関係となっていく。そうしてレンブラントの創作活動はこの後更に花開いていくのである。

《トビトとアンナ》の基本情報

  • 制作者:レンブラント・ファン・レイン
  • 作品名:トビトとアンナ
  • 制作年:1626年-1626年
  • 製作国:不明
  • 所蔵:アムステルダム国立美術館
  • 種類:油彩
  • 高さ:40.1cm
  • 横幅:29.9cm
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